第38回

新型コロナウイルス:3CLproメインプロテアーゼ変異からの教訓

末松 誠 慶應義塾大学医学部 医化学教室 教授

講演概要

新型コロナウイルス感染症対策

医療・看護教育

2020年の新型コロナの第1波はロックダウンが奏功して武漢株はほぼ殲滅できた。しかし第2波、20Bと呼ばれる株のMain Protease(3CLpro)にP108Sという変異が入った株が突如流行を始めピークに達した。その後この変異の入っていない20B株が急速に勢力を増し、第3波のころにはP108S株はほぼ消失した。組替タンパク質を精製し解析したところ、P108S株はProtease活性が顕著に低下していた。日本はこれらわずか2つの株が勢力を争っていたが、ご存じのようにその後は「海外変異株」が複数入り乱れ、現在ではデルタ株が想定外の勢いで増えている。昨年の第2波で起きたことの分析から少しでも教訓が得られれば幸いである。

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